ティーストレーナーと茶こしの選び方|網目と形で変わる一杯の澄み方

ティーストレーナーと茶こしの選び方

同じ茶葉で淹れているのに、お店の紅茶はなぜあんなに澄んで見えるのだろう——そんな疑問の答えのひとつが、じつは「茶こし」にあります。秋が深まり、温かい一杯が恋しくなるこの季節。ティーストレーナーの選び方を見直すだけで、ご自宅の紅茶の口当たりは驚くほど変わります。

ティーストレーナーと茶こし、そもそも何が違う?

「ティーストレーナー」は英語の strainer(濾すもの)に由来する言葉で、日本語の「茶こし」とほぼ同じ意味で使われています。ただし紅茶の世界では、使い方によって役割が少し分かれます。

ひとつは、ティーポットで淹れた紅茶をカップに注ぐときに、カップの上や注ぎ口の下に構えて細かな茶葉を受け止めるタイプ。こちらが本来のティーストレーナーで、受け皿(ドリップボウル)とセットになっているものも多くあります。もうひとつは、茶葉そのものを中に入れて湯に浸す「インフューザー(茶こし器)」。ティーボール型やスプーン型、ポットにはめ込むカゴ型などがこれにあたります。

この違いは味に直結します。紅茶は茶葉が湯の中でしっかり広がり、対流(ジャンピング)することで香りと旨みが引き出されます。茶葉を狭い空間に閉じ込めてしまうインフューザーは手軽ですが、葉が開ききらず、同じ茶葉でも物足りない味になりがちです。おいしさを優先するなら、茶葉はポットの中で自由に泳がせ、注ぐときにストレーナーで受け止める——これが基本の形と考えてください。

ティーストレーナーの選び方|見るべき5つのポイント

1. 網目の細かさ

もっとも大切なのが網目です。目が粗いと細かな茶葉(ダスト)が通り抜け、カップの底に沈んで後半が渋くなります。逆に目が細かすぎると湯の抜けが悪く、注ぐ速度が落ちてしまいます。目安としては、二重メッシュなど目の細かいタイプが扱いやすく、BOPのような細かい茶葉にも対応できます。パンチング(穴あき板)タイプはデザイン性が高い反面、細かい茶葉は通してしまうため、OP(大きな葉)専用と考えるのが無難です。

2. 素材

ステンレスは錆びにくく、茶渋も落としやすいため日常使いに最適です。銀器や真鍮メッキは見た目が美しくテーブルが華やぎますが、変色を防ぐための手入れが必要になります。樹脂製は軽くて安価ですが、においや色が移りやすい点に注意しましょう。毎日使うものと、来客時に使うもので分けて持つのもおすすめです。

3. サイズと持ち手の形

カップの口径に対して小さすぎると、注いだ紅茶が縁から溢れます。直径6〜7cm程度あれば、ティーカップにもマグにも対応できます。持ち手は、片手で構える「柄付き」タイプと、カップの縁に引っ掛ける「フック付き」タイプがあります。ポットが重い場合や複数杯を続けて注ぐ場合は、両手が空くフック付きが扱いやすいでしょう。

4. 受け皿(ドリップボウル)の有無

注ぎ終えたストレーナーには紅茶の雫が残ります。受け皿があれば、テーブルクロスを汚さずにそのまま置けます。小皿で代用もできますが、専用の受け皿は安定感があり、ティータイムの所作も美しく整います。

5. 洗いやすさ

二重メッシュや溶接部分の多い構造は、茶葉が挟まって残りやすくなります。使用後すぐに流水で流せば大半は落ちますが、分解できるタイプや、網が浅く平たい形状のものは手入れが格段に楽です。長く使う道具だからこそ、洗う場面を想像して選んでください。

タイプ特徴向く茶葉注意点
二重メッシュ(ステンレス)細かな茶葉もしっかり受け止める万能型BOP・CTC・フレーバーティー網の間に茶葉が残りやすい
一重メッシュ(ステンレス)湯抜けがよく洗いやすいOP・ダージリン系ごく細かい粉は通ることがある
パンチング(穴あき板)装飾性が高く来客時に映える大きめの葉のみ細かい茶葉には不向き
カゴ型インフューザー(大型)ポット内で茶葉がある程度広がるOP・ハーブ類ポットの八分目まで届く大きさを選ぶ
ティーボール・スプーン型マグ1杯分に手軽少量の茶葉葉が開かず味が出にくい

茶葉のタイプ別・選び分けの考え方

ストレーナー選びは、ふだん飲む茶葉によって最適解が変わります。

大きな葉のOPタイプ、たとえばダージリンスーパーファイン 100gのような茶葉は、葉そのものが大きいため一重メッシュでも十分に受け止められます。湯抜けのよいストレーナーのほうが、注ぐ流れが途切れず香りも立ちます。

一方、細かい茶葉やフレーバーティーには二重メッシュが安心です。ミルクティーで人気のアイリッシュモルト 100gのように、茶葉に加えて細かな副材料が混ざるフレーバーティーは、粗い網だとカップに小さな粒が落ちてしまいます。香ばしさを濁りなく味わうなら、目の細かいものを選んでください。

ハーブティーやフルーツ系のブレンドは、花や果実片が大きい一方で砕けた細片も多く含まれます。こちらも二重メッシュが扱いやすく、注ぎ終わりまで澄んだ液色を保てます。さまざまな茶葉を飲み比べたい方は、茶葉100gのカテゴリから好みを探しつつ、万能に使える二重メッシュを1つ持っておくと安心です。

なお、茶こしを持っていない方や、職場で手軽に淹れたい方には、茶葉がそのまま大きく広がる設計のティーベロップ 12種類セットのようなティーバッグも選択肢になります。ロンネフェルトのティーベロップは平たく広い形状で、カップの中でも葉がのびのびと開くよう作られています。

澄んだ一杯に仕上げる、注ぎ方の基本

道具を選んだら、使い方も整えましょう。紅茶は沸騰直後の100℃の湯で淹れるのが基本です。汲みたての水を勢いよく沸かし、沸騰したらすぐにポットへ注ぎます。渋みが気になるときは湯の温度を下げるのではなく、蒸らし時間を30秒短くする、茶葉の量を少し減らす、という方向で調整してください。香りの立ち上がりは、高い温度でこそ生まれます。

蒸らし終えたら、ストレーナーをカップの中心に構え、ポットを傾けて静かに注ぎます。高い位置から勢いよく落とすと泡が立ち、せっかくの澄んだ液色が濁って見えてしまいます。カップの縁から3〜4cmほどの高さで、細く安定した流れを保つのがコツです。

そしてもっとも大切なのが、茶葉を絞らないこと。ストレーナーに残った茶葉をスプーンで押さえると、雑味や強い渋みが一気に落ちてしまいます。最後の一滴まで注ぎきったら、そこで手を止めて、ストレーナーは受け皿へ。残った茶葉はそのまま片づけます。1回の抽出で成分を出し切るのが紅茶の基本です。

複数人に注ぐときは、全員分を一度に注ぎ分けるのが理想です。ポットに紅茶を残したままにすると濃くなり続けるため、人数分がポットに入りきらない場合は、淹れる回数を分けるほうが味がそろいます。ポットとマグの使い分けについては、ティーポットとマグカップの淹れ分けの記事もあわせてご覧ください。

使ったあとの手入れと、長く使うための保管

ストレーナーは網目が細かいぶん、茶渋が溜まりやすい道具です。使い終わったら、できるだけ早く流水で裏側から流しましょう。表側から流すと茶葉が網に押し込まれてしまうため、「裏から押し出す」のが基本です。

茶渋が褐色に残ってきたら、ぬるま湯に重曹を溶かして15〜30分ほど浸け置きし、柔らかいブラシで軽くなでます。金属たわしは網を傷め、目が広がる原因になるため避けてください。銀製や金メッキのものは専用クロスで拭く程度にとどめます。洗ったあとは水気をしっかり切り、風通しのよい場所で完全に乾かしてから収納します。湿ったまましまうと、においの原因になります。ポットの茶渋対策についてはティーポットの茶渋の洗い方でも詳しく触れています。

秋のティータイムに、道具を一つ整える

10月も終わりに近づき、名古屋でも朝晩の冷え込みがはっきりしてきました。湯気の立つカップがいっそう嬉しいこの季節は、道具を見直すのにちょうどよいタイミングです。焼き菓子を添えたお茶の時間に、受け皿付きのストレーナーがひとつあるだけで、食卓の印象がぐっと整います。

当店「ロンネフェルト・ティ・サロン・名古屋」は、1823年創業のドイツ最高級紅茶ブランド、ロンネフェルトの正規認定店です。茶葉・スイーツ・ギフトの販売に加え、名古屋に実店舗のティーサロンを運営しています。ご自宅でも同じ手順を踏むだけで、味わいはぐんと本格的になります。ティーバッグ派の方はティーバッグの淹れ方で絞らない理由もご参考にどうぞ。

よくある質問

Q. 料理用の茶こしで代用できますか?

はい、網目が細かいものであれば代用できます。ただし、においや油分が残っていると香りに影響するため、紅茶専用に1つ分けておくことをおすすめします。深さのある味噌こし型は紅茶が溜まりやすいので、浅く広い形状のほうが扱いやすいでしょう。

Q. ティーボール型のインフューザーは使ってはいけませんか?

使ってはいけないわけではありませんが、茶葉が広がる余地が少なく、香りと味が出きらないことが多いです。どうしても使う場合は、容量に対して茶葉を半分程度にとどめ、葉が動ける隙間を作ってください。味を重視されるなら、ポット+ストレーナーの組み合わせが確実です。

Q. 網に茶葉が詰まって注ぎが遅くなります。どうすればよいですか?

目詰まりの多くは、前回の茶渋や微細な葉が残っていることが原因です。裏側から流水を当てて洗い、定期的に重曹で浸け置きしてみてください。それでも改善しない場合は、網が変形している可能性があります。注ぐ途中で茶葉を押して流すのは、渋みが出るため避けましょう。

Q. ストレーナーは何個あれば足りますか?

日常使いの二重メッシュが1つあれば十分ですが、ハーブティーやフレーバーティーを多く飲まれる方は、香りの移りを避けるために2つに分けると快適です。来客用に受け皿付きの美しいものを1つ添えておくと、ティータイムの演出にもなります。

Q. ギフトにストレーナーだけ贈るのは寂しいでしょうか?

道具は好みが分かれるため、茶葉と組み合わせると喜ばれやすくなります。ギフトセットには茶葉とスプーンなどを組み合わせたものもあり、熨斗も無料でお付けできます。

まとめ

  • ティーストレーナー(茶こし)は、ポットから注ぐ紅茶の細かな茶葉を受け止める道具。茶葉を閉じ込めるインフューザーとは役割が異なります。
  • 選ぶ基準は、網目の細かさ・素材・サイズと持ち手・受け皿の有無・洗いやすさの5点。
  • 細かい茶葉やフレーバーティーには二重メッシュ、大きな葉のOPには湯抜けのよい一重メッシュが向きます。
  • 紅茶は100℃(沸騰直後)の湯で淹れ、渋みは蒸らし時間と茶葉の量で調整します。
  • 注ぐときは低い位置から静かに。残った茶葉は絞らず、最後の一滴まで注ぎきったら片づけます。
  • 使用後は裏側から流水で洗い、茶渋は重曹の浸け置きで。完全に乾かしてから収納します。

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