
朝晩の空気がひんやりしてくると、ふと飲みたくなるのが、とろりと濃いロイヤルミルクティー。ご自宅で作ると「なんだか水っぽい」「渋くなってしまう」というお声をよくいただきます。今日は、牛乳と茶葉の黄金比、火加減、向く茶葉まで、失敗しない作り方を順を追ってご紹介します。
ロイヤルミルクティーとミルクティーの違い
一般的なミルクティーは、ポットで淹れた紅茶にミルクを注いだもの。対してロイヤルミルクティーは、茶葉を牛乳(または湯と牛乳)の中で直接加熱して抽出する、日本で広まった淹れ方です。牛乳の乳脂肪やたんぱく質が紅茶の渋みをやわらかく包み込むため、同じ茶葉でもまろやかで厚みのある味わいになります。
似た飲み物にチャイがありますが、チャイはスパイスと砂糖を加えて強く煮出すのが基本。ロイヤルミルクティーは、あくまで紅茶の香りと牛乳のコクを主役にした、甘さ控えめでも成立する飲み物です。ミルクを後から注ぐ方式との味の違いについては、紅茶のミルクファーストとミルクインアフターのコラムもあわせてご覧ください。
当店のティーサロンでお客様からよく聞かれるのは「家で作ると牛乳の味しかしない」というお悩みです。原因のほとんどは、茶葉の量が足りないか、最初から牛乳だけで煮ようとしていること。紅茶の成分は水よりも牛乳の中では抽出されにくいため、最初に少量の湯で茶葉を開かせる工程が決め手になります。
材料と黄金比|1杯分・2杯分の目安
ロイヤルミルクティーは、ストレートティーより茶葉を多めに使うのが基本です。目安は通常の1.5倍から2倍。牛乳と湯の割合は、好みによって調整できますが、初めての方は湯1に対して牛乳1の同量から始めると失敗が少なくなります。
| 分量 | 茶葉 | 湯 | 牛乳 | 仕上がり |
| 1杯(約150ml) | 5g | 70ml | 80ml | 標準・毎日向き |
| 2杯(約300ml) | 10g | 140ml | 160ml | 標準・来客にも |
| 濃厚タイプ1杯 | 6g | 50ml | 110ml | 喫茶店風のコク |
| 軽めタイプ1杯 | 4g | 90ml | 60ml | 香り重視・食事と一緒に |
茶葉5gは、ティースプーンでおよそ大盛り2杯分。細かい茶葉(BOPやCTC)ほど同じ体積でも重さが増えるため、慣れるまではキッチンスケールで量るのが確実です。基本の抽出の考え方は紅茶の淹れ方|温度・分量・蒸らし時間の基本でも整理していますので、あわせてお読みください。
基本の作り方|小鍋で作る5ステップ
1. 小鍋に湯を沸かし、茶葉を入れる
片手鍋に分量の水を入れて沸騰させ、火を止めずに茶葉を投入します。ここで大切なのは、水の量を少なめにして、茶葉がしっかり浸る状態にすること。1分ほど置くと茶葉が開き、濃い赤褐色の抽出液になります。
2. 牛乳を注ぎ、弱火に落とす
茶葉が開いたら冷たい牛乳を加え、すぐに弱火にします。ここから先は決して沸騰させません。鍋肌にふつふつと小さな泡が立ち、表面が静かに揺れる程度(およそ80度前後)をキープします。沸騰させると牛乳のたんぱく質が変質し、加熱臭と膜が出てしまいます。
3. 2〜3分、静かに温める
弱火のまま2〜3分。木べらで軽く混ぜながら、色がミルクキャラメル色に変わっていくのを待ちます。時間をかけすぎると渋みが立ちますので、キッチンタイマーを使うと安定します。
4. 茶こしで漉す
目の細かい茶こしで、温めておいたカップに注ぎます。茶葉を押しつぶすと雑味が出るので、自然に落ちるのを待つのがコツです。抽出を終えた茶葉は、そのまま処分してください。紅茶は1回の抽出で成分を出し切るのが基本です。
5. 好みで甘みを
砂糖を入れるなら、熱いうちに。きび砂糖や黒糖を少量加えると、秋らしい落ち着いた甘みになります。甘みなしでも、茶葉の選び方次第で十分に満足感のある一杯になります。
牛乳選びでコクが決まる
ロイヤルミルクティーの味の半分は牛乳で決まる、と言っても大げさではありません。乳脂肪分によって舌ざわりがはっきり変わります。
| 牛乳の種類 | 乳脂肪分の目安 | 味わいの特徴 |
| 成分無調整牛乳 | 3.5〜3.8% | 最も標準的。コクと紅茶の香りのバランスがよい |
| 濃厚タイプ・ジャージー牛乳 | 4.0%以上 | とろみが強く濃厚。茶葉を1割ほど増やすと負けない |
| 低脂肪乳 | 1.0〜1.5% | さっぱり。コクは出にくく、渋みを感じやすい |
| 豆乳・オーツミルク | — | 分離しやすいので沸騰厳禁。香りの穏やかな茶葉が合う |
当店では、ロイヤルミルクティーのために選び抜いたロイヤルミルクティー専用牛乳もご用意しています。紅茶の香りを邪魔せず、それでいて口当たりに厚みが出る配合で、サロンでお出ししている一杯の味を再現しやすくなります。茶葉と牛乳をセットにしたアイリッシュモルト 秘密のレシピセットは、初めて挑戦される方にも分かりやすいと好評です。
ロイヤルミルクティーに向く茶葉
牛乳に負けない濃度とコクが必要なため、ストレートで繊細に楽しむ茶葉より、力強い味わいの茶葉が向いています。
まずおすすめしたいのがアイリッシュモルト。麦芽の香ばしい風味をまとわせたフレーバーティーで、牛乳と合わせるとキャラメルのような甘い香りが立ち上がります。砂糖を入れなくても満足感があるので、秋の午後にぴったりです。次に定番のアッサム。しっかりしたコクと麦芽香があり、手軽に試すならティーベロップ アッサムを2袋使って小鍋で温める方法もあります。
香りで遊びたい日には、ベルガモットの効いたアールグレイも選択肢に入ります。ミルクに合わせると香りが穏やかになり、上品なミルクティーに。ほかの候補はミルクティー向きの茶葉カテゴリからお選びいただけます。反対に、ダージリンのファーストフラッシュのように繊細な香りを楽しむ茶葉は、牛乳の中では持ち味が隠れてしまうため、ストレートでお楽しみください。
よくある失敗と立て直し方
「薄い」と感じたときは、まず茶葉の量を1g増やします。それでも足りなければ、牛乳を減らして湯の比率を上げてください。逆に「渋い・えぐい」ときは、加熱時間が長すぎるか、沸騰させてしまっている可能性が高いです。牛乳を入れてからは2〜3分を厳守しましょう。
当店のティーサロンでスタッフが必ず確認しているのは、カップを温めてあるかどうかです。冷たいカップに注ぐと、せっかく80度前後に仕上げた液体が一気に10度近く下がり、香りの立ち方がまるで変わります。ご自宅でも、茶こしで漉す直前にカップへ湯を張っておくだけで、仕上がりが一段良くなります。
また、鍋底に牛乳が焦げつくと苦みの原因になります。厚手の小鍋を使い、火加減は常に弱火。ミルクパンがない場合は、耐熱ボウルと電子レンジでも作れますが、加熱しすぎて吹きこぼれやすいので、様子を見ながら30秒ずつ温めてください。
秋のアレンジと、お菓子の合わせ方
9月下旬から気温が下がると、サロンでもホットのミルクティーの注文がぐんと増えます。仕上げにシナモンをひと振りしたり、すりおろした生姜をほんの少し加えたりすると、体の内側からじんわり温まる一杯に。甘みをはちみつにすると、コクが増して秋らしい味わいになります。
お菓子を合わせるなら、バターや卵の風味がある焼き菓子が好相性です。アールグレイのパウンドケーキは、ミルクティーのまろやかさと香りの余韻が重なり、休日の午後にふさわしい組み合わせになります。栗やさつまいものお菓子とも自然になじみますので、季節の和洋菓子と合わせてみてください。
よくある質問
Q. ティーバッグでもロイヤルミルクティーは作れますか。
はい、作れます。1杯あたり2袋を目安に、少量の湯でしっかり開かせてから牛乳を加えてください。袋を強く絞ると渋みが出るので、軽く振って引き上げるのがコツです。
Q. 牛乳だけで煮出してもいいですか。
牛乳だけでも作れますが、紅茶の成分が抽出されにくく、味がぼやけがちです。最初に少量の湯で茶葉を開かせる方法のほうが、香りもコクも安定します。牛乳のみで作る場合は、茶葉を2割ほど増やし、弱火で少し長めに温めてください。
Q. 作り置きして冷蔵保存できますか。
牛乳を使っているため、その日のうちに飲みきることをおすすめします。保存する場合は必ず冷蔵庫に入れ、当日中にお召し上がりください。温め直すときも沸騰させず、弱火でゆっくりが基本です。
Q. カフェインが気になる夜でも飲めますか。
紅茶にはカフェインが含まれますので、夜遅い時間に控えたい方はルイボスなどノンカフェインの茶葉でミルク仕立てにする方法もあります。ノンカフェインの商品ページもご参考になさってください。
まとめ
- ロイヤルミルクティーは、茶葉を牛乳と一緒に加熱して抽出する淹れ方。ミルクを後から注ぐ方式とは味わいが異なります。
- 基本の黄金比は1杯あたり茶葉5g、湯70ml、牛乳80ml。濃くしたいときは湯を減らして牛乳を増やします。
- 最初に少量の湯で茶葉を開かせてから牛乳を加えるのが、味がぼやけないための最大のコツです。
- 牛乳を入れたら沸騰させず、80度前後の弱火で2〜3分。加熱しすぎは渋みと加熱臭のもとです。
- 向く茶葉はアイリッシュモルトやアッサムなど、コクの強いタイプ。繊細な香りの茶葉はストレートで。
- カップを温めておくだけで、香りの立ち方と口当たりが明確に変わります。